2010年8月15日日曜日

In-Training Exam

我々のグループでは、医学的知識の側面を補うために
毎月1回ペーパーテストを実施しています。
担当する指導医が独自にテストを作成し、現在までに
40-50回ほどのテストを実施してきています。


何かの参考になるかと思い、一部のみ公開したいと思います。


今回の公開はウイメンズヘルス、産婦人科領域のテストですが、
今年は乳癌、妊娠前の関わり、膣炎が主な範囲です。
年に1回同じ領域が当たり、年度によって妊娠中のケアや
閉経後骨粗しょう症などが入り、3年間で全領域をカバーします。


我々の施設では子宮頸癌検診をようやく始めたくらいで、
海外の家庭医のように妊婦健診もお産を取ることのトレーニングも
まだまだ不十分です。
しかし受診される方がいつこの領域の相談にみえられるか
分からないし、聞いてみないと遠慮しておっしゃってもらえない
こともあるので、知識面の準備だけは常日頃からしておきたいと
思っています。


ちなみに先々日、「乳癌検診をしてほしい」と初めて診療所に
来られた30代の女性が、子宮頸癌ワクチン、2人目の子供を
妊娠する準備についてついでに相談をしたいと言われたので、
以下の知識が役立ちました。


最近は優れたWSなどもあり、学習する機会も増えています。
すべての知識や技術を準備しておくわけにはいきませんが、
一般的に我々が用いている武器(知識や技術)は常に
磨いておきたいと思っています。



In-Training Exam at Nagi Family Clinic
H22.2.25  作成・文責 吉本 尚

産婦人科領域、ウイメンズヘルスについての課題図書:(略)


(1.-10.の問題は5者択一である。ひとつ選ぶこと)
41歳の女性が定期的な自己乳房触診にて乳房腫瘤を自覚した
とのことで受診された。5年前から定期的に自己触診している
が、初めての腫瘤自覚とのことだった。身体所見上、右乳房の
上外側に腫瘤を触知した。大きさは約3cmで弾性硬、皮膚や
筋肉との癒着はなかった。右の腋窩リンパ節が3つ触れ、
大きさはどれも1cm程度であった。
左腋窩にはリンパ節を触れなかった。


1.乳房の診察で正しいのはどれか?
a. 患者のプライバシーを考え、視診と触診は部屋を暗くして行う。
b. サイズ、形、性状の変化に注意するが、乳房は左右差がよく
見られ対称性は考慮しなくてもよい。
c. 視診は患者を座位にして手を下に下げた状態で行い、
乳頭の変化に注意する。
d. 触診は患者を仰臥位にして行い、両腕を体の横で
90度屈曲した状態で行う。
e. リンパ節の触診は腋窩リンパ節のみ行い、鎖骨上、鎖骨下は
ルーチンでは行わない。


2.この時、まず何をすべきか?
(以下略)


3.欧米で生涯に乳癌をわずらう確率は以下のどれか?
(注:欧米では乳癌の罹患率は日本の3倍である)
(以下略)


4.乳癌の危険因子は以下のうちどれか?
(以下略)


5.USPSTF(アメリカの予防サービスタスクフォース)は乳癌の
ためのマンモグラフィー・プロトコールを推奨している。
推奨されているのは以下のうちどれか?
a. 40歳以上の全ての女性に年1回だが、
内外斜位方向(MLO)か頭尾方向(CC)のどちらか一方でよい
b. 40歳以上の全ての女性に、1-2年に1回
c. 50歳以上の全ての女性に、1-2年に1回
d. 50歳以上の全ての女性に1-2年に1回だが触診のみでもよい
e. 35-40歳のうちにベースラインとなるマンモグラフィーを
撮影した後、40歳以上の全ての女性に、1-2年に1回



35歳の女性が、妊娠したいが何か準備しておくことはないか
相談したいと受診した。今まで妊娠したことはなく
慢性疾患の罹患はない。肥満はなく定期的に運動している。
以下の質問に答えよ。

6.まず妊娠のアウトカムを悪化させるリスクについて話し合った。
妊娠中のリスクを上げるのは以下のうちどれか?
(以下略)


7.現状で将来の妊娠に対してリスクとならないのはどれか?
(以下略)


8.患者は姉が二分脊椎の子供を持つことを伝えた。
葉酸の効果で正しいのはどれか?
(以下略)


37歳の女性が風邪症状で受診した。
会話の中で1年に1回の子宮頸癌検診と乳癌健診に興味を持った。

9.初診時にあなたがすることはどれか?
a. 将来妊娠するつもりがあるかどうか聞く
b. 妊娠による全身への影響について患者に伝える。
c. 妊娠中に内服すべきではない薬について話し合う。
d. 毎年の頸癌検診と乳癌健診が必ずしも必要なわけでは
ないことを説明する。
e. 上記のすべて


10.包括的な妊娠前ケアのカウンセリングとして
以下のうちどれが含まれるか?
(以下略)





11.-13.下記の腟炎の項目として適切な質問を
以下のa.-i. より4つづつ選ぶこと(選択肢は複数回選択可能)

11.細菌性腟炎    (a. b. c. d. e. f. g. h.)
12.カンジダ性腟炎   (a. b. c. d. e. f. g. h.)
13.トリコモナス性腟炎 (a. b. c. d. e. f. g. h.)

(以下略)


合計   点/100点


答えは公開しませんが、お聞きになりたい方は御連絡ください。

2010年8月13日金曜日

スタッフレクチャー(?) 8/12

昨日勉強会担当でした。
「医学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー」の講演
準備体験から自らが学んだことなどを追体験してほしかった
こともあり、以下のセッションをしてみました。

~~~~~~~~~~~~~

ワーク作成、ディスカッション形式
active learning
「こんな依頼が舞い込んだら・・・。
ワークで学ぶシリーズ1」


以下の課題を1時間半で作り上げてもらいます。

注釈
1)選択肢は2つです。どちらか好きなほうを選んでください。
2)自分が今主戦場にしているクリニックおよび病院
(津山中央病院、日本原病院、奈義ファミリークリニック、
津山ファミリークリニック、湯郷ファミリークリニック)の
実践内容を記載してください。
3)レクチャー時間は10-30分までこちらで選べます。
ご自身で選んでください。
4)残念ながら断れません(笑)



1、私は家庭医療をやっている〇本原病院に就職し、
研修中および卒業した医師である。ある時、私がそういう
研修をしている/していたうわさを聞きつけて、講演の
依頼が舞い込んだ。
「家庭の医学、じゃなかった・・・、えー、家庭医療の
考え方について少しレクチャーをしてほしいんです。
できれば実践についても少し触れてほしいのですが・・・」、と。
対象者は医学部2年生で地域医療に興味があると手を上げた
学生3人です。
私は、家庭医療の考え方を伝えるべく、10-30分間の
レクチャーを作り上げようと気合を入れた・・・。



2、私は家庭医療をやっている日本〇病院に就職し、
研修中および卒業した医師である。ある時、私がそういう
研修をしている/していたうわさを聞きつけて、講演の
依頼が舞い込んだ。
「先生の現在の実践をふまえて、家庭医療を実感して
もらえるレクチャーをしてください。できれば理論に
ついても少し触れてほしいのですが」、と。
対象者は医学部5年生で地域医療に興味があると
手を上げた学生5人です。
私は、自分の実践内容を伝えるべく、10-30分間の
レクチャーを作り上げようと気合を入れた・・・。


課題
1)上記2つのうち1つのレクチャーの骨子(目次)を
作ってください。
2)骨子をメールで時間内、もしくはその日のうちに
吉本まで送ってください。
3)その骨子を作った理由、伝えたい内容、工夫などを
述べてください。
4)(難しいと思いますが)時間内、もしくはその日の
うちにレクチャーが完成した人は、吉本まで送ってください。


途中で少なくとも一度、全体発表・議論する場を設けます。
相談はどなたにでも、自由です。
書籍からの参考やPCなどでの検索も自由です。


本セッションの狙い
1)現在の家庭医療についての理解度をみる
2)現在の実践を整理し、理論とつなげることで、
自分の現在を振り返ることができる
3)作成したレクチャーはそのまま各事業所の
紹介/宣伝に使える(かもしれない)
4)今後学生・研修医が見学に来た際に、自分の実践の
説明がしやすくなる(かもしれない)
5)吉本の準備時間を短縮する(笑・・失礼しました・・)

~~~~~~~~~
研修医の先生からは好評でした。

セッション評価、研修医評価に関しては指導側でこれから
ディスカッションする必要があると思いますが、自分も
やっていて楽しい時間を過ごせました。