2009年10月28日水曜日

カルテチェックの方略

先日、「第22回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー」の打ち合わせに行ってきました。その様子はまた後日。

その夜に、同期のK先生と話し合い。カルテチェックの方法論について話が及びました。

私の中でもまとめたいと思っていたので、話をしているうちにまとまってきた原案を書きとめておきたいと思います。


<吉本流 カルテチェックの方法論 案 H21.10.28>
step0
患者さんの安全は守られているかについて

step1
今回の患者さんの持ってきた一番の問題の扱いについて
ここで問題を扱うために必要性があれば、step2-5に話が及んでもよい

step2
予防医学的な介入など「ちょい介入」について

step3
患者さんの解釈モデル、受診理由、同意形成のプロセスなど個人に対する家庭医療の実践について
「何が心配そうだった?」「何でここに来たの?」「首かしげサインは出てた?」

step4
患者さんの背景因子・家族、地域の文化など、家族・地域に対する家庭医療の実践について
「この患者さんの家族って知ってる?」「この地域的にはどう?」

step5
すべてを統合した、より高度なディスカッション
(最近では「個人のニーズと地域ニーズ、日本の行政が求めている事をどう解釈し、適応するか」など)


これらは複雑に絡み合っていて、一つ一つをばらばらには出来ませんが、「今日は時間が限られているからstep1だけやろうか」などと使えればいいかなと思っています。


ちなみに言葉の説明ですが、「ちょい介入」は奈義の振り返りで出てきた造語で、「受診ついでにちょっと介入してみよう」という意味が込められています。インフルエンザワクチン接種の受診などの時に、「ちょい介入は何かした?」などと使っています。

「首かしげサイン」は、非言語的コミュニケーションに名前をつけているものの1つで、納得していない時に首をかしげる状態を指しています。これが患者さんに出ていないかどうか、出ていたらどう対応するかを意識して診療しています。

とりあえずの案なので完成版ではありませんが、まずは使ってみようと思います。

若手家庭医部会の会議にて

本日はスカイプ会議。
全国に散らばる若手家庭医と、1時間ほど議論。


家庭医を目指す若手医師らにはたらきかける3つのビジョン
 ◆学びや研修をサポートする
 ◆日常的な悩みを解消
 ◆家庭医としてのやりがいを共有する
これら3つを通して若手医師らの心のよりどころになることを目指します!


この2008-2010年度執行部の最初のビジョンに立ち返って、自分たちはどれくらい達成したのか、これから何を達成していく必要があるのかを会議中に考えていました。
具体的な個別目標を何にするのか各自で創造して考えられるのが、一般目標をあいまいにする利点ですね。


この間うちの診療所の勉強会の中でも行いましたし、
上司のT先生も言っていましたが、
ソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向アプローチ)は
こういうときにネガティブにならずにとても役に立ちます。


今後につながるプロジェクトもいくつか提案され、有益な時間でした。また新しい何かを生み出す力をもらいました。

2009年10月22日木曜日

家庭医療 海外論文へのアクセス

どうやって海外の最新のトピックに触れたらいいのか?
どうやって論文を読むモチベーションを維持するか?
どうやって自分に役立つトピックを見つけるのか?

そんな「How to~ ・・・?」がつながる問題をどうやって解決すればいいのか?


「自分で文献を調べる癖を付けなさい」「実践に役立つから」
「とりあえず雑誌に目を通してみて下さい」
そんな風にしか今まで言われたり言ったりしなかったこと。

それ以前に、言いも言われもしなかった事かもしれません。


日本以外の場所で、今家庭医療の中で何がトピックなのか、など
最新の情報に触れることの大切さは言うまでもありませんが、
そのインストラクションの方法としては何がいいのか?


自分にできることとして、まずは目次だけでも翻訳してみようかと
思っています。


目的に到達するためにはいくつかの障害があると思いますが、
まずは試行錯誤ですね。

2009年10月21日水曜日

人財としての意識

先日のこと。

ある上司から、
「○○さんは、これからどうするか言ってた?」
と聞かれました。


○○さんは、優秀な方。
ある理由で仕事を止められたそう(詳細は不明ですが)。
私はそのことを知っていましたが、

・これからどうするのか
・これからどこで働いていくのか
・自分たちの組織で一緒に働くことは可能か

などといった視点は、実は全くありませんでした。




「こういうこと、好きでしょ?」
「これから徐々にそういうことが気になってくるから。」

と言って声をかけてくれる上司のサポートを、とてもありがたく思いました。



重要な視点を思い出すことができたので、記録しておきます。

2009年10月20日火曜日

小児救急現場での指導

昨日は小児救急の手伝い。
月に1回、400床の総合病院の当直の手伝いに定期的に行っています。19時から22時までですが、小児科急性期の診療技術の維持に個人的に役立っています。


今のところ必ず一人研修医が付いてくれますので、
1)研修医が診察、私が後ろで見ていて、後でfeedback
2)私が診察、研修医が後ろで見ていて、後でdiscussion

1)、2)のどちらがいいか、来る患者さんのカルテと主訴をみて、
研修医に選んでもらっています。



昨日は結構込んでいて、2年目研修医と私が交互に見るような形になりました。

その研修医の課題は耳を見るのを忘れてしまうこと、耳を見るのが苦手ということ、患者さんが立て込んでくると慌ててしまうとの事を言われていました。

私の見た感じは非常に出来る先生だが、どうしても医師側の枠組みで解釈が進んでいる印象があるように感じました。
(救急の現場では、しょうがない部分があるのも理解できますが)


15人ほど診たと思いますが、印象に残った人を上げました。



(研修医が診た患者さんで印象に残っている人1人)
・3歳 1週間風邪症状続き、2日前から発熱

知識領域:中耳炎の自然経過 
技術領域:耳の見方



(私が診た患者さんで印象に残っている人4人)
・3ヶ月発熱38℃ RSV細気管支にて2週間前に入院歴

知識領域:work upについて
感想:この時期の発熱はこちらも緊張 髄液取るかの判断は22時過ぎで時間切れ 小児科の先生にお任せ



・1ヶ月全身蕁麻疹 市販ミルク初めて摂取後すぐ発症 8時間後受診 元気 

知識領域:蕁麻疹対応、アレルギー反応の種類
感想:1型アレルギーの2相性反応についての私の理解がいまいちだったかも
ttp://www.d4.dion.ne.jp/~ippo/anaphylaxis/133.html(頭にhを)



・3歳女児腹痛 日中小児科で浣腸も改善せず 間欠痛 診察時所見なし  
解釈モデル(母親):保育園の演劇で狼が出てきたからか 下の子が腸重積罹患歴あり、それではなさそう

知識領域:小児腹痛鑑別 
態度領域:解釈モデルの有用性
感想:こんな解釈モデルが出てくるとは思わなかった 本当にこれでいいのかどうかは議論の余地と、経過を追う必要がある



・1歳嘔吐下痢 2日前から 食べ飲みで全て嘔吐 機嫌悪い

知識領域:点滴の適応 水分の取らせ方 
技術領域:点滴キットの組み立て、準備、ラインのとり方など
感想:久しぶりに組み立てたので、自分自身も復習になりました

2009年10月19日月曜日

ロールプレイ 医療面接

先日、2週に渡ってロールプレイによる医療面接のトレーニングを行いました。

指導医であり、所長のM先生(以下M)と私の2人が模擬患者として、実践トレーニングの場を提供しました。
研修医は1週目3人+2週目に5人、計8人のトレーニングでした。

上級編という事で、感情面の対応や対応が難しい患者さんを題材にしています。


・怒る患者さん×4(M×3、私×1)
・不安な患者さん(M)
・しゃべらない患者さん(M)
・しゃべりすぎる+訴え・解釈モデルが不明な患者さん(私)
・複雑な解釈モデルを持つ患者さん(私)



医療面接の実践研修に、模擬患者として本格的に参加したのは初めてでしたが、参加することで患者役の感情変化、場の空気などをある程度詳細につかむ事が出来たと思います。
研修医に対するフィードバックも今までで一番よく出来たように(自己分析としては)思いました。

うちの所長の非常に得意な領域で、若干難易度の高い患者設定でした。
全員が見ている前でビデオで振り返りを行うという言い訳できないセッションの中で、私も知識・態度・技術の全領域の学習の手伝いに参加出来たのではないかと感じています。

2009年10月16日金曜日

ブログ開始

ブログを開始してみました。
自分の学習の記録、実践の記録、感情の記録として、細く長く続けていければと思っています。